「かたす」とは首都圏及び関東地方で使われるので方言だと思われていないかもしれませんね。ですが「かたす」は立派な方言なのですよ。ここでは「かたす」を使っている地域や由来についてご紹介します。
かたすの意味
「かたす」とは首都圏を中心に使われる方言で、「片付ける」という意味があります。首都圏だけじゃなく、日本全国で「かたす」の意味を知っている人は多く、言葉として使わなくても意味は通じるので、方言だと思われないことがあるのでしょう。
かたすを標準語に言い換えると「整理」
「かたす」を標準語にすると「片付け」「整理」「整頓」と言い換えることができます。一般的には「片付ける」という言葉を使う時に「かたす」と言っています。
かたすの漢字
片付けるという意味で使うので、「片す」の漢字が当てはまります。一般的には漢字で「片す」と書いている割合は少なく、会話の中で使う言葉なのであえて漢字にした場合は「片す」になるのでしょう。
かたすの由来とは
関東で使われる方言なので、まるで標準語のように思っている人も少なくありませんが、「かたす」の由来は「片付ける」から変化したというのが有力な説です。
江戸時代の江戸の町は、世界で一番の人口密集地でした。だから人々はせっかちになり、江戸っ子たちが使ったのが「片付ける」を短縮した「かたす」だと言われています。今も若い世代が言葉を短縮して新語が生まれますから、それと同じことなのでしょう。
かたすを使う首都圏とはどこまで?
「かたす」は首都圏を中心とした関東で主に使われる方言です。でも、首都圏と関東首都圏と関東とは違うのか曖昧な感じではないでしょうか。
首都圏と関東は同じなのか、どこまでが首都圏なのかなど、「かたす」を使う地域とリンクするのか疑問です。そもそも首都圏とは、法律で決められた範囲で東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県になります。
関東地方は、法律で決められているわけじゃないのですが、公的な機関が使用する地域の区別としては、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県です。
つまり、首都圏と関東の違いは、山梨県が入るか入らないかだけの違いです。「かたす」は山梨県でも使いますし、長野県や静岡県の一部でも使うようです。
かたすの例文
片付ける、整理整頓するという意味で使われる「かたす」の具体的な使い方を例文でご紹介します。
「かたす」の例文①
A子「会議が終わったからかたしに行ってきます」
B子「1人じゃ大変でしょ!私も一緒になおしにいくよ」
A子「ありがとう。じゃあ手伝ってもらおうかな」
B子「長い会議だったから、かなり汚れてそうだから、2人でさっと終わらせよう」
この例文では、「片付ける」という意味の方言として「かたす」の他に「なおす」というのも使っています。「かたす」が関東中心で使うのに対して、「なおす」は関西でよく使われます。
「かたす」の例文②
お母さん
(もうまた散かして!いつだってそのままにしているから、ママが片付けてるでしょ)
男の子
(だってかたそうとすると、もうママが先に片づけちゃうもん)
お母さん
(じゃあ、もうママはもう片付けないからね。出しっぱなしになってたら、おもちゃ捨てちゃうよ!)
男の子
(バカバカ!ちゃんと片づけるもん)
この例文を見ると、「かたす」という方言が日常的に使われていることがよくわかると思います。親子の会話にはよくあることですよね。
「かたす」の例文③
夫
妻
(それならクローゼットにまとめて片づけておいてあるよ)
夫
この例文では、「かたす」の方言と同じ意味で使われる「しまう」という言葉が入っています。「しまう」は東海地方を中心にして「片付ける」という意味の方言です。
まとめ:全国的にも意味が通じる方言「かたす」
「片付ける」という意味の方言として「かたす」を使っている人は全国にいるわけじゃないのですが、「かたす」の意味は北海道や九州でも知られています。これほど広く知られるようになったのは、テレビなどの影響も大きいのではないでしょうか。方言がいつの間にか全国共通の言葉になるとすれば、「かたす」のようにわかりやすい方言でしょうね。
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