「さかいに」という方言は、いかにも関西弁というイメージですが、それは関西以外の土地の人が思っていることなのかも知れません。実際に「さかいに」という言葉を使っているのは関西全域なのか、それとも一部地域に限られているのか、意外と知られていないのではないでしょうか。そこで今回は、「さかいに」という関西の方言について意味や由来などをご紹介します。
さかいにの意味
「さかいに」とは「~だから」という意味の方言です。大阪や兵庫などでは「さかい」と語尾に「に」を付けずに使われることもあります。意味は同じなので、どう「さかい」と「さかいに」と言い分けるのかは関西の人でも深く考えていないようです。
さかいにを標準語に言い換えると「だから」
「さかいに」の方言を標準語にすると「~だから」「だよ」「でしょう」などに言い換えることができます。
さかいにの漢字
「さかいに」は接続助詞として使う言葉で、そのことば自体が会話や文章の主軸にはなりません。ですから、漢字ではなく「さかいに」と平仮名で表現されます。
さかいにの発祥、由来
「さかいに」という方言は関西を中心に使われるので、大阪の堺という地名が発祥ではないかという説があります。しかしその説は立証されているわけではないので、たしかな発祥や由来はわかっていません。
「さかいに」は京都を中心に使う
「さかいに」は関西以外の人は大阪弁のイメージが強いのですが、じつは大阪では「さかい」や「さかいに」よりも「やから」とか「やねん」の方が一般的に広まっています。
「さかいに」は「そやさかいに」と京都の人は今でもよく使っているので、関西でも使う地域は京都周辺が多いようですね。
若い世代は「さかいに」離れしている
「そやさかい」や「そやさかいに」は、関西では広く使われていたのですが、「そやから」や「そやねん」などは多く使われるようになったのは、テレビの影響が強いと言われています。
関西弁を話すお笑い芸人など芸能人が全国ネットの番組に出演することが珍しくなくなってからは、関東でも関西弁交じりの言葉を話す人が増えています。
それと同じように、関西でも標準語の影響を受ける世代が増えているので、「さかいに」のような言葉が「やからね」と変化しているのです。個人差はあるでしょうが、「さかいに」を使うのは、大阪や兵庫などでは30代以上の人が多いというイメージを持たれているようですね。
「さかいに」と同じ意味の関西弁
「さかいに」と同じように、大阪では「~だから」という意味で「よって」とか「よってに」という言葉も使います。
「さかいに」と同じく、若い世代はあまり使わなくなっているようですが、「よって」や「よってに」は会話のリズムが良く聞こえるので、関西弁らしい言葉ではないでしょうか。
さかいにの例文
「さかいに」は関西弁なので、関西での使われ方を例文で見てみましょう。
「さかいに」の例文①
関西女子
(風邪ひいたわ。熱っぽい)
(だから、いつまでも夏みたいな恰好をして風呂上りにウロウロしていたらダメって言ったんだよ)
関西男子
関西女子
(まだ風呂上りは汗かくでしょう)
(それで風邪ひいてたらあきれてどうしようもないわ)
関西男子
この例文では、「そやさかい」は「さかいに」と同じように使われます。「だからそう言ったでしょ!」というニュアンスが「そやさかい」となります。
「さかいに」の例文②
関西女子
(忘れ物ない?ってあれほど言ったのに、まさか財布を忘れるとは)
(あんまりにしつこく言うから、他の持ち物の方に気が行ってしまった)
関西男子
関西女子
(なんという言い訳!もうこれからは何も言わないから)
「~だから」おか「~から」という意味で使う「さかいに」や「さかい」は、無意識で使われているので、改めてみると使えるポイントが沢山ありますね。
「さかいに」の例文③
関西女子
(わたしが食べたくてわざわざ買ってきたから、冷蔵庫のプリン食べないでね)
(名前を書いとけばいいよ。そんな風に言うなら)
関西男子
関西女子
(食べるきね?絶対だめよ!名前を書いておこう)
(ケチなこと言わないでよ)
関西男子
関西女子
(ケチじゃない!並ばないと買えないのだから)
この例文では、「~だから」の意味で「さかいに」と「やから」を両方使っています。語気を強める時には、「やから」の方が使いやすいのではないでしょうか。
まとめ:使う世代が少なくなっている方言「さかいに」
関西弁はお笑いブームによってすっかり全国で知られるようになりました。あえて関西弁を直さずに使い続けている人も多いですよね。しかし「さかいに」の方言のよう使う世代が減っている言葉も増えているのです。
言葉の壁がなくなるのは良いことですが、方言としての魅力が失われるのは寂しく感じてしまいます。関西弁は魅力的な言葉だと思っている人も多いはずなので、守って欲しいですね。
コメントを残す