「せからしい」という方言は、主に九州地方で広く使われている方言です。他の地域で使われることもありますが、九州地方とその他の地域では異なる意味を持つこともあります。
では、どのような場面で使われる言葉なのでしょうか。この記事では方言「せからしい」の意味や地域ごと使い方の違いを、例文を用いてご紹介します。
方言「せからしい」の意味と地域ごとの違い
九州地方で使用される方言「せからしい」は、「うるさい」や「うっとうしい」という意味で使われています。他にも「煩わしい」や「面倒くさい」といった場面で使われることがあり、地域によっては発声の特徴から「しぇからしい」となる場合もり、イントネーションが違います。
似た意味の方言で「しゃあしい」という言葉がありますが、この二つの違いや使い分けがわからなくて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。「しゃあしい」は人以外にも、物や出来事に使うのに対し、「せからしい」は対象が人に限定されます。
九州地方以外だと、少し離れた関西地方である大阪でも「せからしい」を耳にすることがあるでしょう。しかし大阪で聞く「せからしい」は「気忙しい」や「忙しい」といった、九州地方で使うものとは意味が違ってくるので、それぞれの地方で使用する際は注意が必要です。
「せからしい」の由来
今では幅広い地域で使われる「せからしい」という言葉ですが、室町時代に福岡や熊本で「せかせかして気ぜわしいさま」を「せからしい」と言ったのが始まりと言われています。多くの場合、文字で表す際はひらがなで表記されますが、漢字だと「急からしい」と書きます。
「せからしい」の例文
「せからしい」はそのまま使うのではなく「せからしか」といったかたちで主に使われています。では、どのように使われているのか、例文を見てみましょう。
「せからしい」の例文①
お母さん
(だらだらしてないで早く宿題を終わらせなさい)
高校生
(ああもう、朝からうるさいな!)
お母さん
いつも後回しにして大変になるのはあなたでしょ
「せからしい」の例文②
高校生
(ああもう!早朝からうるさいね!何をしてるの?)
お母さん
(いきなり団子を作ってるよ)
高校生
(そんなこと昼にしなさい。うるさいでしょ)
お母さん
(そんなこと言わないでいいじゃない)
いきなり団子は熊本名物のお団子で、生のサツマイモを小麦の中にくるみ、蒸して食べる団子です。最近はあんこを挟んだり、クリームを挟んだりしたバラエティーに富んだいきなり団子も増えています。
「せからしい」の例文③
お母さん
(あなたはね、愛想のいいことと、うるさいのとは違うからね」
お父さん
(本当、そうだよ)
女子高生
(そんなこと分かってる)
熊本弁家族のある会話。熊本弁はアクセントが強いのが特徴で、他県の人が聞くと怒っているように、喧嘩しているように聞こえることがあります。
「せからしい」の例文④
お母さん
小学生
(えーゲームしてたのに面倒くさい)
お母さん
(ひき肉を600gね。お釣りはお小遣いでかまわないよ)
小学生
(ぜんぜん好きじゃない)
博多弁でのお母さんと息子の会話。「せからしい」はアクセントが強いキツめの方言に聞こえますが、九州では日常的に使われています。
まとめ:面倒や煩わしい時には「せからしい」
あたふたと動き回ったり、騒がしい人に対し「せからしか!」と思わず声をあげてしまう、なんて覚えのある九州人のかたも多いのではないでしょうか。九州地方と関西地方で多少の意味の違いはあるものの、さまざまな場面で使うことが出来そうですね。
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