新潟の方言「そろっと」。「そろそろ」や「ぼちぼち」の意味と例文を紹介

「そろっと」という方言を聞いたことがあるでしょうか。似たような発音、似たようなタイミングで使う言葉は聞いたことがある方が多いかも知れませんが、「そろっと」は新潟県で高い頻度で使われる方言の一つです。では、「そろっと」はどのようなタイミングで使われる方言なのでしょうか。この記事では「そろっと」の意味や使われる地域を、例文を用いてご紹介します。

そろっとの意味

新潟県で使われる方言「そろっと」は、「そろそろ」や「ぼちぼち」といった経過を示す意味で使われる言葉です。新潟県内の地域によっては「そーっと」といった多種多様な表現幅があるのですが、例えば共通語で「そーっと行こうか」といえば「静かに行こう」といった意味合いが強いですよね。ですが、方言としての意味合いは「そろそろ行こうか」となるわけなので、共通語の「そーっと」の意味で受け取った人は疑問に感じてしまうことがありそうです。

また、過去には「音をたてることなく俊敏に動くさま」を「そろっと」と表現をしていました。こちらはどちらかというと共通語である「そーっと(静かに)」に近い表現だと言えますが、現在は「そろそろ」、「ぼちぼち」の意味でつかわれることがほとんどです。

似た言葉で関西方面で「そうろっと」という言葉がありますが、こちらの意味は「慎重に」や「優しくゆっくり」といった気を使って行動するような場面で使われることが多く、新潟方面で使われる言葉とはその意味に多少の違いが出てきます。

新潟の人が関西で「そろっと」と使う場合、「そうろっと」に勘違いされるケースも少なくはないです。そのため、新潟出身の方が関西の方と話をする際には、この違いについておさえておくと会話の中での勘違いを避けることにも繋がります。

そろっとが使われる地域

新潟

「そろっと」という言葉は新潟県の越後方言の中の一つで、下越地方や中越地方で多く使われる言葉です。ただ、地域によっては「そろっと」ではなく「よろっと」と表現で使われることもあります。

どちらもほとんど意味合いは同じであるものの、「そろっと」は聞いたことがないけれど「よろっと」ならよく使っている方も多いでしょう。

そろっとの発祥や由来

先にご紹介した「そうろっと」の場合は、「そーっと」や「そろりと」という言葉が由来とされています。しかし「そろっと」の場合古くから使われている言葉のせいか、明確な発祥や由来は知られていません。それだけ使用地域の多くの人に馴染んでいるという証拠でもありますね。

新潟の人は標準語だと思っていることが多い

「そろっと」は新潟の人の多くが標準語だと思っていますが、実は方言です。共通語だと思って新潟以外の地域で普通に使ったところ、不思議そうな顔で見られた経験がある新潟出身の方もいるでしょう。そこで初めて方言であることに気づく人が多いです。「そろっと」は全く聞いたことがない人からすれば意味を勘違いしてしまうこともある方言なので、使用する地域には気をつけなければなりません。

そろっとの例文

「そろっと」は日常で使う頻度の高い意味の言葉なので、覚えれば多くの場面で活用できます。若い人の間では使用頻度が薄れつつある新潟弁の中でも未だに使われることの多い「そろっと」をうまく使いこなせるよう、例文をいくつかご紹介します。

そろっとの例文①

お母さん

今日はこってさめーのー
(今日はとても寒いねー)

お父さん

だっけさぁ~…
そうだね~…

お母さん

そろっとぼちゃ沸いたかねー?
(そろそろお風呂沸いたかな?)

お父さん

じょうやまだぬるまっこいて!
(たぶんまだぬるいよ!)

新潟ではお風呂のことを「ぼちゃ」もしくは「だぼ」といいます。熱い時は「あっちぇ」、冷たい時は「はっこい」または「ひゃっこい」と表現をします。

そろっとの例文②

おばあちゃん

あんたんとこのあにゃさ、帰ってるら?
(あなたの家のせがれは、帰ってる?)

おじいちゃん

そろっと帰ってくる頃だろも、いってこねぇのぉ
(そろそろ帰ってくる頃だけど、なかなか来ないねぇ)

おばあちゃん

いっぺことすいか獲ったすけ、くーてくんなせや?
(いっぱいスイカが獲れたので、食べてくれませんか?)

おじいちゃん

いっつもわーりねぇ、ごっつぉさん
(いつも悪いわねぇ、ごちそうさま)

「あにゃさ」は「長男」や「せがれ」という意味で、「あんにゃ」と言うこともあります。新潟弁では多くの方言がもともとの語源から短くなるのに対し、「いっぱい」を表す「いっぺこと」は逆に長くなっています。

そろっとの例文③

高校生

昨日は雪がしかも降ったてがんに、今日はあっちぇのぉ
(昨日は雪がたくさん降ったのに、今日は暖かいなぁ)

高校生

だっけさぁ。そろっと春が来るろー
(そうだねぇ。ぼちぼち春が来るだろう)

「しかも」は接続詞である標準語とは意味が違い、新潟でも「たくさん」といった意味で使われています。

まとめ:新潟県民には標準語と思われがちな「そろっと」

今日からでもすぐに使い始められる方言「そろっと」。関西でよく使われる「ぼちぼちでんなぁ」を「そろっとでんなぁ」と言い換えることは難しいですが、使える場面は数多くあります。語意に比べて表現もどこか可愛らしく感じる「そろっと」。新潟の人が県外で使っていたら「それは方言だよ」とこっそり教えてあげてくださいね。

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